動物病院 豊島区 東京都 久山獣医科病院

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動物病院 東京都 久山獣医科病院

よくあるご質問とそれに対するお答え

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>>幼齢犬の排尿問題(ポメラニアン・♂・10か月)
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 生後2か月程で我が家にきました。ケージに入れてたときはちゃんとトイレにおしっことうんちをしていましたが、鳴き癖がひどくなりケージから出し、トイレができなくなり(ごくたまに成功しますが)、ここ1か月程からはあちこちにマーキングをするようになりました。おしっこもあちこちにするようになり頻尿のような感じです。

 獣医さんに頻尿なのですがと相談をしたところ、検査はなにもせず去勢すれば治ると思いますといわれました。情報が飛び交うこの世の中で、去勢も賛否両論ありましてどうしたらよいのかわからなくなってしまっています。そちらでは検査をしてもらうことはできますか?その際どういった検査になるのでしょうか?

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 去勢の賛否につきましては、獣医療では医学的にも、倫理的にも去勢手術を行うべきというのがグローバルスタンダードです。皆さんが目にする賛否は、あくまで感情的であったり、根拠のないものが大半ですので、議論の余地はありません。ただし、外科手術を行うリスクは確実にありますから、決してBESTな方法ではなく、BETTERである方法でしかありません。
 
 男性ホルモンの支配下に置いて、性衝動を起こしておきながら、人の都合で交配をさせないということが、基本的に動物の負担やストレスになることは明白です。健康な子に全身麻酔や外科手術を行うという問題もありますが、リスクマネージメントで考えても、去勢をしないで放置する方が比にならないくらい高い負担と言えます。また、手術は一度ですが、男性ホルモンの影響は一生続くわけですから、これも明白でしょう。

ただし、リスクがあることは変わりありませんので、飼い主さんが納得される方法を取るべきでしょう。これらについては、当院HPに資料がありますので、そちらをご覧ください。

排尿の問題は、今回に限らずまず膀胱炎や尿道炎、前立腺疾患、ペニス周囲の疾患などがないことをまず診断してから、行うのが鉄則です。これには、身体検査や触診、尿検査、画像診断などが必要です。そのうえで、これらに異常がないのであれば、たしかに排尿の仕方がスプレー行動のように感じられますので、性ホルモンの影響を考えるべきでしょう。

性ホルモンの異常は、血中ホルモン濃度を測定することで診断が可能ですが、その費用などを考えると行われることは少なく、去勢ありきで考えるのであれば、仮の診断から去勢手術を行うのが常法と言えます。

ただし、ケージ内での鳴き癖に対して、ケージから出すというのしつけの大失敗です。これで、鳴いたり、問題を起こせば飼い主さんは言いなりになるということを覚えてしまっています。となると、今回の排尿の問題も、初めにしつけの失敗も関与していると思います。

しっかり考えて、対処してあげてください。

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>>FIPの疑いのある猫(スコティッシュ・フォールド・メス・11か月)
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 FIPを発症していると11月末に蛋白分画を見せられ言われました。11月位から突然ずっと食べてた餌を途中で飽きてはまた食べてみたいな、一気に食べなくなって、ふりかけをかけてましたが、食欲が無くなっていったように思い、便秘も目立つようになりました。そして去勢手術が肝酵素の数値がとても高かった為、延期になり、他の病院に行ったら発症していると言われました。

 それから12月中に2回ステロイドの注射を打ちました。ただそこの先生は説明があまり無いためとても不安になり、違う病院へ。そこでも蛋白分画の検査をしましたが、ステロイドのせいなのか、正常に近い波形になっていました。

 今必死に主治医を探していますが、中々人に聞いてもいい返事もなく、毎日いつ状態が悪化するか本当に怖いです。猫の今の状態はご飯は食べますが、前ほどは元気はありません。尿、便は今のところは、問題ありませんが、耳と腹に脱毛があります。先生曰く真菌ではないようです。培養検査で結果が出ていないので。先生ならどのような治療をしていきますか?

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 FIPの診断は、基本的にはコロナウイルスの抗体価検査あるいはPCRによる遺伝子の検出で行うこととなりますが、これはあくまでコロナウイルスの検出となります。ご存知かと思いますが、コロナウイルスには腸炎型と腹膜炎型があるため、コロナウイルスを検出しただけではFIPを診断することは不可能(結果が著明であれば可能)で、一部PCRで可能とする報告もありますが、確実ではありません。そのため、臨床症状やその他の検査により他の疾患を除外診断し、さらに血清蛋白分画によるγグロブリンの著増を含めて、総合的に診断します。このメールの内容では、蛋白分画のみで判断したような記載となっていますが、その点がどうなのでしょうか。

 これらの症状は、いろいろな病気で起こりうるものですので、FIPと診断のつくものではりません。むしろ、宿便の原因は?宿便への対策は?肝酵素の上昇の原因は?その対策は?などが重要で、本来であればこの点をまず解決するべきです。また、もし仮にFIPであってもこれらを改善しない限りは、容態の回復は見込めないと思います。

 副腎皮質ホルモンは、FIPに有効と考えられる治療薬ですが、本来は継続して投与する必要があり、2回の注射のみで効果は普通はでませんし、そのような方法を取られません。ただし、蛋白分画などの検査結果には影響することもあります。

 脱毛につきましては、今の病状との関連も考えなければいけないですし、全く別の疾患である可能性もありますね。どのような治療を行うかについては、まずは本当にFIPなのか確定診断を正しくやり直すべきと思います。もしFIPであった場合、これは完治の難しいかなり厳しい状況と言わざるを得ませんが、なかには治療により快癒する方も少ないながらいらっしゃいますので(ただし、完治は生涯無理であり、可能性は少ないことを覚悟)、そこにかけるのか、むしろホスピスという形で出来る事をするのか、この点は飼い主さんとしっかりお話しないと答えは出せません。

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>>尿石症既往のシーズーの慢性腎不全(シーズー・避妊♀・12歳)
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 ペットショップよりお迎えした日から血尿があり、その後結石を繰り返しました。尿管結石で手術を何回もしたため、次に結石が出来たら手術はできない状態と診断され、専用の療法食を食べています。今回毎月の定期検診で腎不全が見つかり、新薬を処方されました。セミントラとおいう薬です。そこでご質問ですが、
 @猫用らしいが犬への効果、副作用について。
 A成分的に人間の降圧剤のようだが、犬の腎不全の薬としては何をメイン?にするのか。リンやカリウム、貧血、高血圧など考えることが多いと思います。
 B犬の腎不全の治療の第一選択があるのか。元々結石もちなので食事制限がかなりありほとんど他の食材は与えていない。
 C犬の腎不全は人間の腎不全と同じように考えていいのですか?
 透析はできる施設はあるようだがリスクや体力的な事、年齢的にも考えていない。尿毒症の症状はまだ出ていないよう。なるべく穏やかに症状を和らげながら寿命を全うさせたいと考えています。その場合何がいいのか。何もせず、定期検診と投薬で経過をみるのが良いのか。薬の種類についてもよろしくお願い致します。

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 基本的には、まず急性腎不全なのか、慢性腎不全なのか、慢性腎不全の急性化なのか、ここが問題です。また、腎不全と診断した根拠が何か、血液検査だけでは診断は出来ませんので、シスタチンC測定や尿検査、血圧測定、X線検査や超音波検査などの画像診断で総合的に診断する必要があります。場合によっては、クレアチニンクリアランス試験など特殊な検査を行うこともあります。

 腎不全が原発性なのか、合併症なのか、逆に併発疾患があるのか、ここも上記の検査で診断する必要があり、治療や検査内容もこれらによって異なります。

 これらをしっかりと診断せずに判断したとしたら、結果的に腎不全であっても誤った獣医療と言えます。

 さらに、今までの定期検査でその兆候が認められなかったのか、予想できたが放置していたのか、放置していた理由があるのか、見落としなのか、これもしっかりと考えなければいけません。

 シーズーは、元々先天的に腎変性が存在することも多く、これとは別に老化と共に腎不全を発症しやすい犬種です。また、僧房弁閉鎖不全症の発症も多く、心腎症候群として腎不全を起こすことも多いです。さらに、尿路結石の既往があるとなると、その影響を腎臓が受けるのは明白であり、また尿石症用の食事療法は元々腎臓に負担になる食事(高Na、高脂肪、中〜高蛋白、ストラバイト用であれば低pH)であるため、この点を今までどのように考えてきたか、これも考えなければいけません。

 上記のように、総合的にかつ長期的に判断する必要があり、ご質問にある具体的な治療法については、何が最適か診療せずに判断することは不可能です。

 特に、なぜ腎臓の機能低下があるのか、この点が分からなければどの治療が最適かは判断できません。まず第一に腎臓自体の問題か、心臓疾患や尿路疾患などの併発か、考えなければいけません。これらで分類するとしても、腎不全には腎前性、腎実質性、腎後性とあります。

 具体的なお答えは無理ですが、理論上のお答えを記載しておきます。

 @セミントラという薬は、動物用としては新薬ですが、薬剤としては昔からあるお薬です。人での効果および動物での実験的な効果は十分であると評価されています。が、基本的には、ARBの犬での最適投与量はまだしっかりと把握されてないと個人的には判断しています。また、ACEIでの効果不足やACEIより有効性が高いという実感もないため、今のところ私はまだ使用経験がありません。この点が解決されなければ、安易に投与するべきではないと考えています。

 A降圧剤は、動物でも同様の効果で、血管拡張薬とも言います。主に心疾患や腎疾患に使用されます。
 
 治療法のメインは、決まりがありません。その体調や病状、性格、生活などに合わせて治療法は選択されます。ただ、基本的には食事療法と生活環境の整備はどのような病状でも行わなければいけません。この上に成り立つのが、薬物などを使用した治療であり、これらを怠れば治療効果は得られません。
 〇静脈内点滴、皮下点滴など
 〇降圧剤:ACEI、Caブロッカー、プロスタサイクリン誘導体、ARBなど
 〇吸着剤、吸リン剤など
 〇貧血の対策:鉄剤、蛋白同化ホルモン、ダルベポエチンなど

 B第一選択は、食事療法と生活環境の整備です。

 C人と犬の腎不全は、似ている部分もありますが、異なります。

 D腹膜透析や血液透析は、あくまで対症療法であり、腎臓を良くする治療ではありません。前記の治療とは、異なるものです。ただし、負担も大きく私も推奨はしません。

 どのような治療を選択するべきか、正しい診断と治療を心得ている主治医であれば、その獣医師と相談をして決めるべきです。

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>>キャバリアの血小板減少(キャバリア・避妊♀・5歳)
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 先日、健康診断を兼ねて血液検査を行ったところ、血小板減少症の可能性があると診断されました。紫斑等の症状はありませんが、プレドニゾロン、ファモチジン、アラバを処方されました。

 キャバリアは遺伝的に血小板が大きく(約4倍程)、検査では数が少なく出る場合があるらしいのですが、遺伝的な原因以外に本当の血小板減少症の可能性も否定できないとのことで2週間以上薬を飲み続けています。

 一週間前の血液検査では、薬のせいか顕微鏡で血小板の数が増えているように見えるとのことでした。明後日には血液凝固検査の結果がでる予定です。

 薬を飲み始めてから愛犬の元気がなくなりだるそうにしているため、一週間前からアラバのみ止めて、プレドニゾロンとファモチジンにしてもらったのですが、口臭がひどくなり歯周病のような状態になりました。

 血小板減少症の判断はこのまま投薬と血液検査の繰り返ししかないものなのでしょうか?

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 血小板減少症、特に特発性(免疫介在性)血小板減少性紫斑症(いろいろな呼称があります、ITPあるいはIMTとも言われます)を疑っての治療を行っているということですね。この病気については、病態が複雑で、かつ生命に関わる疾患であり、また確定診断の方法がなく、治療に副作用がつきまとうため、まず病気の理解を第一に考えなければいけません。ですから、しっかりとご説明とご相談をされた結果の治療であるはずです。

 もし、これを怠っての治療開始であれば、それこそこの治療は診断がどうあれ、内容がどうあれ、仮に診断が正しく、あるいは効果があったとしても正しい治療とは言えません。
 
 血小板減少は、皆さん出血が止まらないことが危険と考えがちですが、実際にはその怖さよりも今後出血が全身で始まることが問題となります。血小板は、出血を止めるためだけではなく、出血しないように身体の中で働いているわけです。この機能が低下すると、目立つ症状としては、紫斑(皮下出血)、吐血下血、血尿、眼底出血、鼻出血、口内出血などが起こりますが、ここまで進んでいるケースよりは、無症候・無症状で見つかる場合の方が多いと言えます。

 キャバリアは、ご存知のように血小板減少症が多い犬種ですが、基本的にはその血小板の形状に問題があるためで、機能的には問題の無いことが多い減少症です。ただし、ここで難しいのはキャバリアにもIMTはありますから、この鑑別が重要です。IMTは、抗血小板抗体の検出で確定診断が可能ですが、これは現在行える施設がないため、基本的には血小板減少を呈する他の疾患の除外診断しか方法がありません。

 これらの検査は、極力その場で行い一気に確定診断をするべきですが、IMT自体は急性発症もあり得ますが、ほとんどが徐々に悪化するため、注意深く経過を診ながら診断を進めることも多いです。ただし、治療を始めてしまうと、検査結果にも影響し、診断がつかなくなる危険性があることも考慮しなければいけません。

 免疫介在性溶血性貧血(IMHA)との併発も多いため、この疾患の診断のためにクームス試験やその他の腫瘍等を除外診断するための検査や骨髄生検が必要な場合もあります。

 血液凝固系の検査(PT、APTT、Fib、FDPなど)は、血小板減少症として出血傾向がないかどうかの診断には有効であり、早期診断が必須ですが、これは初診時にその場で診断しないと意味がありません。なぜなら、もしすでに出血傾向があった場合、結果を待っている間に亡くなってしまうからです。ただし、IMTでは、これらの検査に異常が出ない場合も多々あります。そのため、血小板減少症の症状の判定には有効ですが、これに異常がないからと言ってIMTではない、あるいは危険ではないという診断は誤りです。この点は、いろいろな本やネットの情報にもよく書かれていますし、、獣医師の診断としても用いられることが多いのですが、大きな間違いです。

 本来、キャバリアの場合、血液塗抹標本上で血小板数に大きな異常がなければ、および血液凝固系に異常がなければ(あくまでIMT以外の診断として)、無症候・無症状であれば、緊急性はないと判断し、検査を繰り返しながら経過を診ることが多くなります。そのため、IMTの早期発見が数日遅れる可能性がありますが、これは検査としっかりとした看護、そして診断後の適切な治療で充分フォローできるはずです。

 治療は、一般的には副腎皮質ホルモン(ステロイド)の免疫抑制量の投与で充分効果が得られますが、効果が不足したり難治性の場合は、アザチオプリンやシクロフォスファミドなどの免疫抑制剤、ダナゾールなどの補助薬を使用します。

 今回の記載での疑問点は、

1、初回の診断時に、血液塗抹標本の顕微鏡下の検査結果は、やはり血小板減少症で、治療後の今はその血小板が増え始めた(見え始めた)ということでしょうか。

2、初回の診断時には、血液凝固能の検査を行っていないのでしょうか。 

3、重篤な副作用の伴う可能性の高い治療を、試験的投与や早期治療に行う意味があったのか。また、副作用への認識は十分できていたのか。

4、特に治療開始時から強い免疫抑制剤を使用する必要があったのか。アラバは、免疫抑制剤あるいは抗リウマチ薬に分類される薬剤で、その中でも副作用の強い薬剤であり、私は不勉強や経験不足かもしれませんが、限定された疾患や病状でしか使用しておりませんし、免疫介在性疾患の治療で、必要になった経験もありませんし、初期に使用する意味が分かりません。

5、IMTであった場合、治療効果が出るまでに数週間かかることもあり、2週間で治療効果を判定するのは難しく、また効果があれば継続する必要がある疾患ですが、長く期間を要する治療に対して、その説明があったのか。

6、今回の口内の粘膜病変は、病状の悪化というよりはアラバの副作用である可能性がありますが、その他の薬剤による副作用の可能性もあります。これらは、病状によりやむを得ない場合もありますが、その認識がなされているか。また、副作用であった場合、中毒性表皮壊死症や皮膚粘膜眼症候群である可能性もあり、多形紅斑などの併発疾患などの発症も考えられ、これらは重篤な疾患ですが、その認識があるかどうか。

 実際に診察をしていない私では、投薬の必要性については判断できかねますが、一般的なIMTやキャバリアへの対処としては、異なる方法を取っていると感じられる部分もあります。ただし、これらの判断は、診察した獣医師の技量や知識による正しいものであることもありますので、しっかりと先生と相談してください。

 ただし、どのような治療方法を取るにしても、事前に正しくインフォームドコンセントを行い、なぜそのような方法を取るべきと考えたかの説明と同意は、しっかりと行わなけれていなければいけません。

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>>人から犬猫に感染する病気等はあるのでしょうか?(犬、猫共通)
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 人畜共通伝染病は、動物から人へ感染するというルートが基本のようですが、人から犬猫に感染する病気等はあるのでしょうか?

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 人畜共通伝染病は、最近では人獣共通感染症あるいは動物由来感染症と言われることが多くなっています。ズーノーシス(zoonosis)という呼称も一般的になりつつあります。共通感染症と名称通り、双方向の感染が起こる危険があります。あくまで犬猫が注目されますが、犬猫以外の動物の方が、はるかに多くの感染症があります。そのため、動物と接する者は、その動物種に限らず、これらの感染症に対して広い知識を持っていなければいけません。
 
 ヒトとそれ以外の脊椎動物の両者に感染または寄生する病原体により生じる感染症は、感染している動物との接触やその排泄物、被毛・フケなどやヒトを介してヒトに感染する疾患であり、基本的にその感染源は動物であることが大多数を占めます。
 
 その病原体と接する機会が圧倒的に動物が多く、また生活環境や衛生状態、体調などにより動物への感染の方が起こりやすいということもあります。そのため、ヒトが感染源になる機会はほとんどないと言ってよい状況です。また、ヒトにはこれらの病原体に対する抗体などがない場合が多く、さらに病害を拡大する要因にもなっています。
 
 また、ヒトが保菌状態でいることよりも、動物が保菌状態にあることの方が多く、逆方向の感染はあまり問題視する必要がありません。
 
 ただし、例えばヒトの医療での抗生物質の濫用などにより抗生物質耐性菌が生じて、動物へ感染する問題(動物での濫用など逆もありますが)や霊長類への風邪やインフルエンザのヒトからの感染などもあり、決して一方的ではないとも言えます。
 
 原則として、これらの病気を一つ一つ細かく学ぶことで、それぞれの疾病の特徴を理解しさえすれば、感染経路や防疫方法を知ることが出来ますから、ひどく恐れる必要はありません。
 
 また、ヒトは自身の管理でいくらでも体調や衛生状態、生活環境を良くすることが出来る訳ですし、動物との接し方もルールを守り、工夫をすることが出来る訳ですから、これらの疾患はあくまでヒトに問題があることが多く、特にヒトから動物への感染は、大きな責任があると言ってよいでしょう。またそもそも、動物の領域へヒトが入り込んだことも、動物との関係を良好に構築できなかったのも、その原因です。
 
 ヒトの風邪やインフルエンザは、犬や猫には基本的には感染しませんが、インフルエンザの流行時に感染報告があります。日常に接する機会が多いのは、皮膚真菌症や消化管内寄生虫、外部寄生虫、猫ひっかき病などですが、近年ではインフルエンザやSARS、食中毒菌、Q熱、オウム病などが注目される機会が増えています。もちろん、狂犬病は今でも非常に危険な疾患です。

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>>乳腺腫瘍についての良くある疑問〜説明の補足(主に犬ですが、犬猫共通)
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 愛犬の腹部の皮膚(乳腺?)に10mm弱のしこりが見つかり、診察を受けました。家族が病気についての説明を受けましたが、不確かな点が何点かございます。ご質問させて頂きたく、よろしくお願い致します。

1、このような症状は、乳腺炎あるいは乳腺腫瘍、どちらの診断名になりますか。

2、「乳腺腫瘍とは犬の皮下の乳腺にできる腫瘍のことだ。いわゆる癌といわれ、内臓にまで転移する悪性のものと、皮膚にだけできて転移しない良性のものがある。その発生率はそれぞれ50%だ。良性のものは、おできのようなものであり、簡単な皮膚手術で治る。」と調べた資料にありますが、頂いた説明では簡単ではないという内容であったそうです。

3、「統計的なデータによると、愛犬が悪性の乳腺腫瘍になる割合は1000頭に1頭だ。たとえ悪性の乳腺腫瘍でも、5mmのものなら、簡単な外科切除手術だけで根治する確率が非常に高いとの獣医大学の報告がある。」とありますが、やはり手術は必要なのでしょうか。

4、「1回目の発情出血が始まる前に避妊手術をした雌犬が、将来、乳腺腫瘍になる確率は、避妊手術をしていない雌犬と比較すると約0.5% 。2回目の発情出血が来る前に避妊手術をした場合だと8%。2回目発情の後に避妊手術をした場合だと26%。2歳半以上で避妊手術をした場合では、避妊手術を受けていない雌犬と変化はないというものです。」とありますが、今回避妊手術を勧められているようです。避妊手術を行う意味があるのでしょうか。

5、ところが、乳腺腫瘍の予防のために、愛犬の避妊手術を勧めている獣医が多い。前記獣医大学の報告では、悪性乳腺腫瘍の発生の確率は避妊手術には関係がないという。避妊手術をしても、悪性腫瘍の発生予防にはならないということだ。

6、治療方法として何通りかの選択肢があり、手術が検討されるということでしたが、どのような方法が考えられますか?

7、最後に手術費用ですが、病院によってかなり差がありますが、どのようなお考えなのでしょうか。

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 まず初めに申しあげておきますが、元々直接お会いせずにインフォームドコンセントは行うべきではなく、あくまで直接お越し頂いてお話するものです。また、同じくメールですべてをご説明するのは難しいと思います。この点ご理解の上、お読み頂けたらと思います。特に今回のお話は、元々複雑な話であり、ご家族からの伝聞では要領を得にくいと思います。

 できましたら、当院で作成した資料の「去勢手術と避妊手術」「手術と麻酔について」「乳腺腫瘍」「悪性腫瘍の治療について」を先にお読み頂けると、ご理解がしやすいかと思います。

 ご質問の中には、乳腺腫瘍についてのデータを記載されておりますが、これらの研究にはまだエビデンスのないものも含まれており、まだ獣医療の中でも賛否両論のもの、偏った持論を展開しているもの、反するデータも提示されているものもあります。いまだに発展途上の腫瘍学ですので、日々統計やデータには変化があり、また中には偏ったものや根拠の少ないものも含まれます。実際に、獣医師の中には腫瘍学を専門的に勉強したものは多くなく、特に発生の多い乳腺腫瘍でも誤った治療法が普通に行われていることが多く、我々も頭を悩ませています。僕は大学病院で腫瘍を扱う外科と麻酔の勉強をしてきたため、腫瘍の治療に関しての誤りや失敗に傷つき、病状を悪化させ、苦しんでいる動物を、解決されない悩みや不安、疑問を抱える飼い主さんと数多く向き合ってきました。その点もご留意頂き、お読み頂きたいと思います。

1、診断名は、乳腺腫瘍です。ただし、生検を行っていないのであれば、乳腺症の可能性も残されており、これは確定診断ではありません。なぜなら乳腺腫瘍は、事前の細針吸引生検では、良性悪性の判断が出来ないことが多く(これも、一部の病理学者は可能と主張しておりますが、不確かです)、むしろ混乱や誤診を招くことがあります。また、良性悪性共に対処の方法が同様なため、術前の生検は必須ではないのが特徴でもあります。

 ただし、乳腺以外の由来の腫瘍か、乳腺由来の腫瘍かを判断するのはこの生検で可能ですが、今回の腫瘍の形状や大きさ、硬さ、部位、発生状況、乳腺全域の過形成から、乳腺症の可能性がほぼないと判断できます。もちろん、この鑑別の生検は確実性を増すためには行う意味があります。

2、乳腺腫瘍は、体表の外科手術のため、その腫瘍のみを切除すればよいのであれば、術式は簡単です。もちろん、正しい治療を行えば悪性の乳腺腫瘍でも完治も可能です。しかし、乳腺腫瘍は良性でも再発例がかなり多く、1度発症した乳腺腫瘍の動物は、誤った手術を受けた場合、本来必要ないであろう再手術を何度も受けていることが多く、またその結果、生命の危険にさらされることも少なくありません。また、悪性腫瘍で不適切な手術が行われた場合、完治は難しく、腫瘍の悪化や転移、随伴症候群で早期に生命を落とす結果となっています。これらの事実について、この記述では考慮されていません。もちろん適切な外科手術を行っても、再発や浸潤、転移を防ぐことが出来ない場合もあります。

 この時、簡単な手術で1つだけの腫瘍を治すことを考えるのか、今後再発をしないようにしっかりとした手術を行うか、術式や麻酔管理を正しく安全に行っているか、ここに手術をどう考えるかの差が出ることになり、外科医や腫瘍医の力量が問われます。
 
 同じ腫瘍の手術でも、腫瘍を適切に扱えるか、腫瘍細胞を術中に播種させないか、マージンをしっかり考えて切除できるか、必要かつ適切な器具を使用しているか、身体に負担の少ない器具や糸を使用しているか、安全かつ適切な手術手技と麻酔を行っているか・・・、挙げだせばきりがないくらいに手術や麻酔にはその術者によって大きく差があり、同じ病名、同じ術式でも大きく異なります。

 しかもこれらの差は、すぐに出るものではなく、数年後、十数年後、取り返しのつかない形で身体に現れ〜致命的な再発や転移、繰り返される麻酔や手術として〜、苦しめることになります。ただ治すのではなく、「最善の状態に治すこと」、今を乗り切ればよいのではなく、「生涯にわたって手術をした結果が良い方向に向くように」、これが手術の原則です。これらの差も、後にご質問のある、獣医師によって治療費用になぜ差がでるのか、大きな理由です。
 
 1つの腫瘍だけを考えれば、周囲10mm程度のマージンを取ってくり抜くように乳腺から切除すれば事足ります。が、これは肉眼で見える1つの腫瘍とその周囲にある肉眼では確認できない多数の腫瘍細胞を切除する方法です。
 
 乳腺腫瘍の場合、これらの部位以外にも肉眼では見えない腫瘍細胞は、乳腺全域あるいはリンパ節支配領域の乳腺に散在していると考えられます。しかし、犬の場合は左右5対(4対もあり)の乳房があり、この5つで1つの乳腺と考えます。すると、腫瘍1つとその周囲だけを取り除いても、肉眼で確認できない腫瘍細胞は周囲及び広範囲に乳腺に残ることになり、これらがその後腫瘍として拡大してくるわけです。ですから、このような状況では厳密には再発ではなく再燃とも言えます。
 
 今回考えられる術式は、腫瘍のみを摘出する方法(これはあくまで生検と今ある危険を取り除くためだけのもので、卵巣子宮全摘出術を行う場合に限り、治療とは考えません)、腫瘍の発症している乳房だけを切除する方法、腫瘍の発症しているリンパ節支配領域の乳腺を切除する方法、リンパ節郭清手術を含む腫瘍の発症側の全ての乳腺を切除する方法〜根治的乳腺全切除術〜です。両側に乳腺腫瘍が発症している場合、構造上両側を1度に切除することは犬では不可能で(悪性の確率が90%を超える猫の乳腺腫瘍では一般的に両側を行いますが、構造上も可能)、片側ずつ2度に分けて手術を行うことになりますが、病状によっては、腹部乳腺のみ両側切除を行うことは可能であり、皮膚形成術〜減張切開術や皮膚皮弁形成術、皮膚移植など〜を併用し両側切除を行う場合もあります。

 その後の再発を完全に防ぐには、リンパ節郭清手術を含む乳腺の全切除術が良く、そのためこの術式は根治的乳腺全切除術と呼ばれます。ただし、この根治は発症側乳腺(切除側)に限られ、切除しない反対側乳腺には効果がありません。

 再発を覚悟する(意味がありません)、あるいは長時間の全身麻酔や外科手術に耐えられない状況であれば、その他の方法でも仕方ない場合もありますが、先にも述べた通り、再発での再手術はさらに高齢になってからの手術となり、さらに基礎疾患が増えた状況での手術となり、さらに腫瘍の影響を受けた病状となり、さらに腫瘍の浸潤や転移、随伴症候群の可能性が高くなり、さらに何度も麻酔・手術を行わなければいけないリスクがふえてしまいます。そのため、当院では根治的乳腺全切除術を行っており、再発は特殊なケースを除き0、治癒率も回復率も高くなっています。
 
 もちろん、今回は経過を診ることも可能ですが、大きさがすでに手術を考えなければいけない大きさ〜基本的に外科手術適応は、急または継続的な拡大(これは今回見つてられるのが大きくなってからでしたので判断できません)、急または継続的な増加、大きさが10mmを超えるもの〜であるため、すぐにではなくとも今後手術を考えなければいけない状況です。

 さらに、すでに発症している腫瘍の悪性の可能性は50%あるわけですから、上記のことも考えると簡単な手術という記載には誤りがあります。もちろん実際には、どんな手術にも簡単なものはありません。

3、現在の腫瘍は、すでに8mmを超えており、このデータよりも状況は悪いかもしれません。ただし、現在では大きさや硬さ、形、その他から良性の乳腺混合腫瘍の可能性が高いと考えています。
 
 また、上記のとおり、悪性腫瘍の場合は術式に特に留意する必要があり、簡単ではありません。ただし、悪性でも適切な外科手術を行えば、これ以上の大きさでも完治は可能です。実際には、30mm超で危険、50mm超は予後不良と統計がありますが、僕の経験では300mm(西瓜より大きいもの)超の手術でも完治しています。

4、本来は、乳腺腫瘍を予防するためには、発情前の手術が推奨され、100%予防できるというデータが最近は増えています。個々の数字には誤差がそれぞれありますが、これは正しいものです。ただし、2歳半以上での予防率は、しっかりと数値化されて差が出ているデータもあります。現状では、こちらの報告の方が多くなっています。
 
 ただし、この統計は1度も乳腺腫瘍を発症していない子が、初めて発症する確率を考えたもので、今回のように発症した子の再発の場合には全く関係のないものです。今考えなければいけないのは、発症した後にどのように影響を受けるかです。乳腺腫瘍は、女性ホルモンの影響を受け、発情中から発情後に拡大増加することが知られています。そのため、今後の再発や右側乳腺への発症を少しでも予防するには、卵巣子宮全摘出術(避妊手術)は必須です。

 また、乳腺腫瘍や乳腺症などの婦人科の病気を発症した子は、子宮内膜炎や子宮蓄膿症の発症率が非常に高く、発症した場合の危険性も急性では乳腺腫瘍を凌ぐため、この予防も兼ねられています。
 
5、乳腺腫瘍の予防には、避妊手術は確かに効果があります。これは加齢と共に年々確率が少なくなってしまいますが、前述の通り0ではありません。ただし、病気の予防のためだけに避妊手術を行うのは、若干誤りもあります。倫理や道徳、身体や体調のことも含めて考えて、避妊手術は行うべきです。

 また今回の記載は、乳腺腫瘍と悪性腫瘍と混同されています。悪性腫瘍に関しては、記述の通り予防効果は優位ではありません。あくまで、乳腺腫瘍に対しての効果であり、上記のデータでもそれは認められています。また、先にも書いた通り、この統計も初発のもので、今回のようにすでに発症した乳腺腫瘍には当てはまりません。

6、現在考えられる方法は、
1)このまま経過を診る
2)今後の乳腺腫瘍の拡大と増加の可能性を低くするため、および続発する可能性の高い卵巣子宮疾患の予防を兼ねる卵巣子宮全摘出術(避妊手術)を行う。
3)これに加え、今ある腫瘍の危険性だけでも排除しておくために乳腺腫瘍摘出術(病理組織検査のための切除生検を兼ねる)を行う。
4)左側乳腺腫瘍を完治させる可能性の高い根治的左側乳腺全切除術を行い、さらに右側乳腺腫瘍の発症の確率を少なくするため、および続発する可能性の高い卵巣子宮疾患の予防を兼ねる卵巣子宮全摘出術(避妊手術)を行う。

7、診療料金は、先に述べたように元々その病院で行われる医療レベルが異なるため、差があるのが当たり前とも言えます。これは、受けられる医療格差をなくすための人のような保険制度がない獣医療に限られるものですが、実際には人医に比べ、病院の提供できる医療内容に格差が大きいため、その内容による差でもあります。ただし、基準がありませんから、金額に見合った医療内容かどうかは分かりません。

 そのため、高額だからと言って正しく高度な医療が受けられるとも限りませんし、低額だからと言って医療内容が伴わないとも言えません。また、高額がボッタクリとも限らず、低額が良心的とも限りません。
 
 一般的に、医療レベルを高めるには、器具や機材、設備を良いものにする必要があり(使いこなすことが前提)、獣医療を行う人材を採用するか育てなければいけません。また、勉強のためには書物や資料を必要とし、学会や講習、専門機関などで研鑽を続けなければならず、独自に研究も続けます。これらには、やはり費用が必要です。

 これらから考えると、やはりある程度の金額と高さと医療レベルは比例するはずですが、これを正しく判断する術はありません。

 ぼくは、当院で行われる全身麻酔及び外科手術の内容で、かつ統計や他院との比較で、より麻酔関連偶発症例が少ないこと、術後の体調回復率、乳腺腫瘍の根治率・再発予防率の高さの維持にはこれらの内容は不可欠であると考えています。

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>>猫の難治性下痢の治療(日本猫・避妊オス・不明)
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 10月末に保護した猫が、11月末頃より突然下痢になり、症状が改善されずに困っております。ドロっとした溶けたチョコレート状の便を一度に大量にします。食欲は旺盛で元気もあり、体重も増加傾向にあります。他にも猫がいますが、症状が出ているのはこの一匹だけです。

今まで行った治療は、
・便検査(直接法・浮遊法)異常なし
抗生物質と下痢止めを一週間投与
・便検査(直接法・浮遊法)異常なし
別の種類の抗生物質と下痢止めを一週間投与
・パルボ抗原検査 陽性
抗ウイルス薬と抗生物質を一週間投与
・パルボ抗原検査 陰性
便検査(直接法・浮遊法)異常なし
検査に出ない原虫かも、ということで駆虫薬を数種類、二週間投与
・アレルギー用や繊維質のエサに変更

他に何か原因や治療法などはありませんでしょうか。

c_a1
 以下の治療について何点か一般的な治療とは異なることがなされています。場合によっては、この治療によって症状が悪化した可能性もあります。もちろん、治療のリスクを了承のうえ、疑われる疾患に対して行った試験的な治療であれば、問題ない治療かもしれません。

今まで行った治療は、
・便検査(直接法・浮遊法)異常なし
抗生物質と下痢止めを一週間投与

→普通、細菌性腸炎でなければ、下痢の治療に抗生物質投与は行いませんし、むしろ禁忌です。腸の状態が良くない時に、腸内細菌に影響を及ぼしたり、消化器に副作用を起こす薬剤は、消化器症状を悪化させる危険があるため、また効果がないため、使用しません。

・便検査(直接法・浮遊法)異常なし
別の種類の抗生物質と下痢止めを一週間投与
・ パルボ抗原検査 陽性
抗ウイルス薬と抗生物質を一週間投与
・パルボ抗原検査 陰性

→検査陽性は、なぜ起こったかと説明がありましたか?ワクチン接種後ではない、あるいは検査の失敗でなければパルボ感染が考えられますが、普通長期間ウイルスを保持してから発症することはありませんから、最近他の猫から感染する環境にあったのでしょうか。また、その後陰転したとありますが、パルボウイルスの抗原は、発症して1週間を過ぎると、感染が持続していても消失します。そのため、感染が治癒したという指標にはなりません。普通は、感染初期抗体の測定で感染の有無が確認できます。
 しかし、パルボウイルス感染の場合は、症状が激しく、死に至ることも少なくなく、また感染性が強いところから同居猫にも感染します。合わせて、この発症時に体増加や元気食欲は維持できません。

便検査(直接法・浮遊法)異常なし
検査に出ない原虫かも、ということで駆虫薬を数種類、二週間投与

→糞便検査をしっかり正しく行えば、普通は原虫類も検出されるはずです。ただし、どうしても難しい場合は、除外診断として遺伝子検査で今は原虫類も診断は可能です。

・アレルギー用や繊維質のエサに変更

→下痢の原因もいろいろあり、食事療法も逆に悪化させることがあります。しかし、試してみないといけない場合も多く、試験的に給餌するのは仕方ないかもしれません。
 しかし、 アレルギーは、個々で原因(アレルギン)が違うわけですから、普通はアレルゲン検査をしてからでないと、おうちの子にあった低アレルギー食は見つかりません。また、低アレルギー食は、消化性の悪いフードもあるため、選択と判断が難しい場合があります。そのため、これらの手順を踏んでいなければ、アレルギーや食物過敏症は除外診断できません。
 他に、高消化性、低脂肪性、高繊維質などの食事療法も効果がありますが、それぞれの原因に対して効果があるだけで、全ての下痢に効くわけではありません。
 
 また、不適切な食事の給与やおやつ、異物、誤食なども下痢の原因となり、フードの保存状態や食器の洗浄、食事の質なども影響します。

 今までの診断や治療が、正しく行われているかどうか判断できませんので、今まで除外された診断が正しいかもわかりません。他の原因を、ということですが判断が難しいです。

 難治性の下痢で鑑別が難しいものは、IBD、膵外分泌不全、食物過敏症やアレルギー、蛋白漏出性腸症、腫瘍などになりますが、まずはしっかりと系統立てて診療を行っているかどうかが大きなカギとなります。

 メールに記載されていない薬剤では、メトロニダゾールやスルファサラジン、プロバイオティクス、副腎皮質ステロイド、消化酵素などが使用されます。

 主治医としっかりと相談し、セカンドオピニオンも含め、早めに対処をした方が良いと思います。

d_q1
>>老犬の肢の震え(フレンチブルドッグ・避妊♀・10歳)
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 年齢により散歩中や立ち姿勢のときに時々足が震えます。かかりつけのお医者様で、最近、レーザーの温熱での治療があるとききました。これから更に悪化しないように予防処置でいいかもしれないといわれました。

 貴院はその設備がおありなようですのでメールしてみました。診察して頂かないとわからないとは存じますが、こういうケースの治療はいかがでしょうか?よろしくお願いしたします。

d_a1
 肢が震える原因が何であるか、診察や検査をされて、その原因を診断された結果でしょうか。肢が震えるにも原因はいくつもあります。まずはそれがわからないと、レーザーや温熱治療も効果があるか分かりません。これらの治療は、あくまでこの治療で良化する病気であり、適切に使用できることが前提になります。例えばレーザーであれば、どの部位に照射するのか、病気の場所がわからないければ照射すらできません。

 また、1つの症状でも、それにはいろいろな原因があります。筋力の低下、関節疾患、腱や靭帯、筋肉の疾患、神経疾患、肥満、不適切な運動など簡単に挙げてもこのくらい挙げられます。

 それぞれに、それぞれのさらなる原因があります。例えば筋力の低下は、老化や運動不足、肥満、関節や脊髄、脳の疾患、認知症などでみられます。また、体型や体重、生活環境が原因であることも多く、疾患ではないこともあります。

 まずはしっかりと診療を受け、診断して頂くことが大切です。そのうえで、レーザーや温熱治療が効果的であると判断されるのであれば、実施を考えられてはどうでしょうか。

 また、レーザーは、基本的には消炎効果や血行回復、損傷部位の修復、鍼灸効果が期待されます。温熱治療にも使用できますが、これは赤外線やその他の方法でも可能です。ただし、炎症がひどい場合は温めることが悪化を促しますので、むしろ逆効果にもなります。

 例えば、減量やリハビリ、運動療法はもっとも単純で、最も効果的な治療です。炎症や痛みが原因であれば、消炎鎮痛剤や関節の変性を抑制する薬剤やサプリメントも必要です。サプリメントも、関節の変形を抑えるものやコラーゲン、慢性炎症を抑えるものなどいろいろあります。

 まずは、今の状態をしっかりと把握し、そのうえで効果的な対処法を相談してください。

d_q1
>>老犬の巨大食道症(ゴールデンリトリバー・15歳)
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 最近苦しがることが多くなり今後の治療についてご相談させて頂けたらと思います。以下経緯を記載します。

・3年前から食後何度も嘔吐を繰り返すようになり現在の病院に通院。
・巨大食道症と甲状腺機能の低下と診断され、甲状腺機能を上げる薬とステロイドを処方。
・昨年の夏、逆流性肺炎で危ない状態になる。
・定期的に2週間持続するという抗生剤の注射、点滴、吐き気を抑えるセレニア錠を投与。
・巨大食道症と診断されてからは、食後20分位抱っこの姿勢を保持していたが、今年の夏からは長い時だと3時間位抱っこをしないと消化できなくなってきた。
・更に最近は抱っこをしている時にも横にならせている時にも鼻を鳴らして苦しがるようになってきた。
・セレニア錠の効き目は2日間程度。強い薬らしいので、苦しがっている時にしか使っていないが、苦しがる頻度が多くなってきているため、今後どのように対処したらいいか迷っている。

 なお、食欲は旺盛で、散歩も日に2回行っています。自立歩行はできますが起き上がることはできません。このような状態なのですが、今後苦しまないで老後をおくれる方法や他の治療方法等について伺うことができれは幸です。

d_a1
 大変重篤な状況ですね。ここで難しい問題があります。今のような病状では、かなり細かい所見と直接の診療がやはり必須であるということです。その点を補えずに行うアドバイスは、助けてあげられないだけでなく、場合によっては足を引っ張ってしまうことにもなりかねません。

 でもこれからの転院は…、かなり問題がありお勧めできません。1つは、ある程度の距離や時間の移動は、生命に関わる危険があるということ。2つめは、老齢になってからの転院は、大きな リスク〜ワンちゃんの問題〜環境の変化、初めての経験が多くなる、知らない場所・人と接する。〜医療のリスク〜今までの病状の変化が細かいところまで100%つかめない、体質や性格を熟知していない、重複する検査や治療が必要になるかもしれないなど。これらはどうしても乗り越えられないリスクになります。

 そこで、今の診療を邪魔しない程度で、出来るだけのアドバイス(一部質問)をさせて頂きます。箇条書きにしますが、順序には意味はありません。

1、巨大食道症には、いろいろな原因があります。そしてその原因により、治療が著効する場合もあり、逆に原因不明のままでは治療は当てずっぽうになり、効果は期待できません。また複数の要素が原因となる場合もあり、全てをしっかりと見極めることが大切です。もちろん、負担になる検査の是非は考えなければいけませんが、食道拡張症を治せない状態での動物の苦しみを考えれば、それを上回る負担の検査は、普通はありません。

 甲状腺機能低下症はもちろんですが、副腎皮質機能亢進症、胸腺腫瘍、食道炎などの合併症として起こる場合、食道の通過障害〜異物や狭窄、腫瘍など〜の物理的な刺激が原因となる場合、神経筋疾患〜重症筋無力症、多発性筋炎・神経炎、SLE、中枢神経障害(脳脊髄疾患)など〜が原因となる場合です。

 今回、これらの鑑別診断の結果は、どうだったのでしょうか。

2、甲状腺機能低下症の医療はもちろん重要ですが、副腎皮質ステロイドには甲状腺機能を低下させる副作用があります。今回の場合、ステロイド投与によってむしろ甲状腺疾患の治療は邪魔されているようなことはないですか?今までの治療により甲状腺ホルモン濃度は正常になっていますか。

3、ステロイド投与は何のための投薬でしょうか。甲状腺にも、胃にも、感染にも良い効果はなく、むしろ悪化させます。食道炎の維持でしょうか。

4、セレニアやオンダンセトロンは、決して強いお薬ではなく、ある程度の期間と量の投与は可能です。しかし、効いていないのに漫然と投与を続けたり、定期検査を行わなかったりした場合は、この限りではありません。また、これらのお薬は効果の持続が1日がやっとですので、むしろ嘔気を取り除くべき病期ですから、しっかりと投与期間を保ち、嘔吐したらではなく、嘔吐を催さない維持治療が良いと思います。合わせて、メトクロプラミドやモサプリドなど、その他の薬剤の使用も含め、悪化したらではなく、良い状態を保てるように、早めの投与や持続的投与など検討するべきでしょう。

5、喉頭麻痺などを併発することもありますので、呼吸には十分留意が必要です。過度の興奮や緊張もできるだけ避けたいところです。また、現在の消化や流通の悪化、呼吸の悪化、起立不能などは合併症や他の疾患、薬の副作用などいろいろと考えられます。

6、現在の抗生物質投与は、やむを得ない可能性もありますが、耐性菌の出現や効果の弱化に注意が必要でしょう。

7、現状では、根本疾患をできるだけ良化させることが、すなわちホスピスとなると思います。

以上、お役に立てるかどうかわかりませんが、よろしくお願いいたします。

d_q1
>>前十字靭帯断裂の治療(mix・メス・1歳)
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 今年の9月下旬に急にビッコを引きだしたので、すぐに病院に連れて行きました。最初は様子見、ということで暫く様子を見ていたのですが、なかなか回復せず、大学病院に連れて行きました。

 診断結果は左膝の十字靱帯断裂ということで手術を勧められました。ですが、以前飼っていた犬が手術後に弱ったのをみていた為、出来るだけ手術以外の治癒方法を探しています。

 鍼灸の動物病院に相談したところ、まずレーザーによる治療を受けてみては、とのことでしたので受けてみたいのですが、そのような治療の取り扱いはされていますでしょうか?

d_a1
 初めまして久山です。前十字靭帯断裂は、靭帯が損傷切断されて、その部分に炎症が起こります。靭帯が離断するほどの衝撃であれば、関節や半月板も損傷することがあります。また、変形性骨関節症や膝蓋骨脱臼症が元々あって、二次的に断裂することもあります。

 このような急性の病変に伴って、また、関節が不安定になるため、関節炎や軟骨の変性変形も二次的に起こします。この炎症や不安定さ、変形などを放置すると、変形性骨関節症や半月板損傷、患肢の筋肉萎縮などに進行することも少なくありません。また、患肢の他の関節の疾患、他の肢、脊椎の疾患を引き起こす原因にもなります。

 跛行(びっこ)しているということは、その肢をかばって不自然な生活になるため、そのストレスだけでなく、痛みや違和感にずっと耐えなければいけなくなります。また、跛行はその違和感や痛み、不安定さの現れですが、動物は痛みに強く、適応しやすいため、跛行がなくても症状がないとは判断できません。

 基本的に整形外科疾患は、苦痛や違和感の除去が優先ですが、機能の維持、合併症や二次疾患の予防と対処、老齢時の状態などを含めて対処しなければいけません。

 ですので、不用意に様子をみたり、今大丈夫そうならと誤った判断をすれば、後々大きな苦痛や不自由さを耐えなければいけないことになります。今回に関しても、様子をみてしまった点について、なぜ初期に診断が出来なかったのか、適切な治療を行っていれば、という問題はすでに起こってしまっています。

 基本的に靭帯が離断している場合、外科手術以外では治癒しません。離断した靭帯が物理的に繋がらないければ治らない疾患ですから、絶対に無理です。ただし、損傷や断裂の程度によっては、初期治療が正しく行われた場合、外科手術をせずに断裂が治癒することもあります。ただし、9月が初発と考えると、その時期ではありません。

 レーザーは、損傷の修復や消炎効果を期待するものですから、温存療法や補助治療としてであれば意味がありますが、これで治るものではありません。外科手術が困難である場合は、内科療法(薬剤やサプリメント)や理学療法と併用して行う意味があると思いますが、現状ではいたずらに長引かせるだけだと思います。

 外科手術を行う場合、術前検査を行って体調や病状の評価を行い、手術が可能な体調や病状か、十分全身麻酔や手術に耐えられる状況か、その後の治癒や回復に問題はないか、治癒や苦痛の軽減が手術以外に方法がないかあるいは手術以外で治癒する見込みがないのか、これらをしっかりと判断して行うべきです。

 以前お飼いになられていたわんちゃんは、これらの準備や手術、麻酔が適切に行われていたのか分かりませんので、不幸な結果ではあると思いますが、本来であればそのようなことがないように手術や麻酔は行われるべきです。

 当院では、疼痛管理や治癒促進のためにレーザー治療を行っておりますが、大学での診断が正しいとして、今回の病状であれば、これは適さないと考えます。

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>>猫の慢性腎不全の治療とステロイド投与(三毛猫・避妊メス・15歳)
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 血液検査の結果から腎臓の具合が良くないという事でフォルテコール(ACE阻害薬)を服用しておりました。その後、おなかに腫瘍が見つかり、ACEを休薬し、プレドニゾロンを毎日1錠飲むようにいわれました。ちなみに腫瘍は腸にあるそうでプラムム大といわれました。高齢のため細胞検査はしていません。
その後の検診では腫瘍が少し小さくなったというので、担当医へ確認して少しずつプレドニゾロンを減らしていこうと思っております。これについては担当医はやってみてもいいですよといっただけで具体的な方法は教えてもらえず。
腎臓がもともと弱っていたのに服用する事が不安になったためですが、服用量を減らしていっても大丈夫でしょうか?また服用し続けた場合腎臓の方がどうなってしまうのか、お教えいただけたら幸いです。ちなみに体重は2.5〜2.6キロ。
そして自分自身、仕事上時間が不規則で同じ時間に薬があげられないのですがなるべく夜19時〜24時のあいだであげるようにしています。この点は問題ないでしょうか?

c_a1
 先に結論を申し上げますが、減薬についての判断はできません。なぜなら、腎臓と腫瘍の診断を私が直接下したわけではないので、細かい病状がわからないからです。ひと口に腎臓が悪いといってもその原因や病態、病期など皆それぞれで、また生活習慣も関与します。問診や身体検査、血液検査、X線検査、超音波検査、尿検査などの細かい結果と推移で判断しなければいけません。腫瘍も同様ですが、特に腫瘍はその種類によって病態も治療法も全く異なりますので、生検などの結果が必要です。

 この基本を元にいくつかの疑問点があります。その部分にもし誤りがあるのであれば、今の治療は正しくないということになります。腎不全や腫瘍の治療法については、当院HPの図書室に詳しい資料がありますので、そちらをご参照ください。

1、基本的な治療方針は?年齢を考えてホスピスを主体とするのか。ただし、腎不全や腫瘍は、ある程度の検査や治療を行わないと、ホスピスも難しい。身体に負担をかけない医療に固執すると、病気による体の負担も軽減できないことも。もちろん、極力負担を少なくするのは年齢に関係なく基本。初めから決めつけず、一番良い方法を検討するべき。

2、腎機能低下または慢性腎不全の原因は?心腎症候群や腎高血圧、脂質異常などの可能性はないのか。超音波検査や生検などで腫瘍の可能性は否定できているか。

3、腎臓の治療は、ACE阻害薬だけではなく、吸着剤や食事療法、点滴などの治療法がありますが、それらの提案や相談のうえ、今の治療法を選んだのか。

4、ACE阻害薬とプレドニゾロン(副腎皮質ホルモン(ステロイド))は、全く薬効の異なる薬ですが、なぜACE阻害薬を休止したのか。

5、高齢で生検が出来ないということはないが、これは負担をかけないという意味での回避か。

6、プレドニゾロンは、消炎剤や免疫抑制剤であって、元々抗腫瘍薬ではありません。リンパ腫や白血病、肥満細胞腫や組織球腫の一部にだけ、抗腫瘍効果を認めるものであり、これは抗がん剤としてではなく、腫瘍の性質とプレドニゾロンの作用機序によるものです。そのため、今回の腫瘍が腸管型リンパ腫という確定があれば、ステロイドは効果が期待できます。しかし、その他の腫瘍であれば、効果がないばかりでなく、むしろ悪化させる可能性もあり、腎臓を含めた副作用のリスクも負うことになります。

7、この点を含んだ相談の結果、無効やリスクを覚悟の上でのステロイドの試験的投与なのか。また、ステロイドの効果がある腫瘍でも、この薬だけで良くなることはなく、大半はその他の化学療法の併用が必要です。これらのことは、提案・相談の上行わないことになったのか。

8、今の腫瘍の形状では、腺癌なども考えられ、場合によっては外科手術によって治癒が可能かもしれませんが、これらの提案・相談の上今の治療法を選んだのか。

9、腫瘍がやや小さくなったとは言え、ほぼそのままで残っているとしたら、もしステロイドの効果で縮小・維持しているのであれば、完治していない状況で減薬をすれば普通はすぐに悪化してしまいます。減薬は、その危険性を冒してでも副作用を軽減することを優先するということでしょうか。

10、もし腫瘍の縮小が少ないのであれば、むしろステロイドは効いていないと考えられないのか。であれば、ステロイドの他の効果や副作用の方が問題ではないか。

11、ステロイド投与は、猫にとっては夜の投与の方が副作用が少なくなると言われています。その点では、今の投与は問題ないと思われます。ただし、リンパ腫を標的にするのであれば、5mg1日2回投与が理想だと思われます。1錠5mgであれば、1錠1日2回です。

 以上です。これらを参考に、主治医としっかり相談してください。

d_q1
>>心臓病の鎮咳薬治療(シーズー・避妊メス・12歳)
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 心臓弁膜症を患い薬の投薬が始まって2年。最近、腸重積の手術をうけ、心臓病の分類クラスが3から4へ悪化しました。その後、激しい咳の為テオフィリンが追加されましたが、服用後初日に全身ふるえが出て再入院。家に帰って今度は服用後2−3時間で興奮状態になり、2−3時間続きます。

 テオフィリンを飲ませるようになってからこの状態になるので、違う薬にかえていただけませんか?と訴えましたが、替わりは無く心臓の為に外せないといわれました。この薬で副作用はないのですがと説明があり、その副作用対策のためにまた追加にセエルカムが出されました。しかし、薬の副作用?の上にそれを消す薬で良いのか、納得がしにくいです。本当に違う種類の薬はないものでしょうか?

 今、服用している薬は、フロセミド、ベトメディン、テオフィリンを1日2回、ベナゼプリル、セファレキシンを1日1回です。テオフィリンを今日診察がある日に止めてみましたら(勝手なことをしてはいけないのですが)その時は興奮状態は全く出ませんでした。今は肺水腫もなく咳もなしです。どうぞ宜しくお願いします。

d_a1
 はじめまして久山です。お薬を勝手にやめてみるのは危険です。ただし、今回についてはやむを得ない事情があります。結果的に体調が改善して、本当に良かったと思います。

 テオフィリンは、心臓病による咳には効果的な気管支拡張薬です。ただし、稀に重篤な副作用を発現することもありますし、心臓に効果的な作用も、良くない作用も有する薬です。もし今の症状がテオフィリンによるものであれば(すみません、直接診ていませんので)、これはあり得る症状ですからやはり投薬は中止するべきでしょう。薬の副作用を、さらに他の薬で打ち消すというのは、今回の場合は良いとは判断できません。特に今回処方されたジ゙アゼパムは、元々鎮静薬であり、興奮や発作を抑えるためのお薬です。決して心臓病に良い薬ではありませんので、これもお勧めできません。

 咳の治療につきましては、直接診察や検査を行っておりませんので、何が良いかはわかりません。基本的に心臓病性の咳の治療は、心臓自体の病状を安定させることでコントロールするのが理想ですし、現状では血管拡張薬やCaブロッカー、βブロッカー等を追加することが効果的かもしれません。また、肺水腫が悪化していて、心臓のコントロールで安定しないようであれば、利尿剤で肺水腫を抑える必要がありますが、腎毒性があり、心腎症候群を助長する可能性もありますので、休薬も含め、製剤や用量の変更が効果的です。また、これらの治療で咳の改善が認められないようであれば、テオフィリンやその他の鎮咳薬(デキストロメトルファンやブトルファノール、トラマドールなど)を併用する必要があります。また、心臓病に呼吸器疾患が併発することもありますので、そちらの診断も必須です。これらがあるようであれば、抗生物質や去痰剤、分泌抑制剤などの併用も大切です。

 細かい心臓の精査でしかこれらの判断はできませんので、鎮咳薬が必要かどうかよりも、どの治療が良いか診断できません。現状の治療では、やはり不安を感じますので、心臓の精査と治療の見直しが出来る病院へ転院する、あるいは紹介して頂く方が良いかもしれません。

 心臓病の治療は、患者さんが10人いれば10通りの病態があり、詳しく診察をしていないと明確にお答えできないものです。そのため、ご希望に添える返信が出来たかどうか、少しでもお役に立てたのなら良いのですが。

 直接診ておらず、今の診療を評価するのは失礼に当たりますが、使用されていた治療薬をみると、やはり心臓病の勉強が足りないのでは?と思ってしまう処方です。病状が複雑なのに、今良く売れている薬やマニュアル通りの処方のように感じたからです。特に、副作用が出ていて、それに苦しんでいて、でもそこにしがみつくというのは、その治療を続ける明確な根拠と著明な症状の改善、代替のない治療法である証明、飼い主さんの同意、これなくしては行ってはいけません。そこで、転院をお勧めしました。飼い主さんに要望されて、動物の苦しむ姿を放置して、それから治療法を検討するなんて、生命を扱う獣医師の恥ずべき姿かと思います。

 専門医がそばにいれば、これはなかなか難しいですね。今、飼い主さんが最大限できること、そしてするべきと考えること、これに尽くして頂くのが飼い主さんのお仕事であって、過剰な無理はいけません。できるなら、その相談ができる主治医がいてくれれば・・・、というところですね。独りで背負いこまず、ご家族や主治医に分担して、頑張ってください。

d_q1
>>人の食べ物を与えることについて
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 食べ物についてご質問いたします。食事は、ドライフードを与えておりますが、私たちが食べているものにとても興味をがあり、テーブルに料理が並ぶと落ち着かない様子です。
 特に甘いものが好きみたいで、私がお菓子を食べていると必ず椅子に登ってきて、私の口の中をなめようとしつこく登ってきます。ぐっすり眠っていたのに、気がついたらテーブルに登って食器を舐めているというようなこともあります。
 人間の食べ物は、与えない方がよいと聞いていたので、テーブルにはのせない、人の食べ物は与えない、ようにしてきたのですが、眠っているのににおいだけでわざわざ起きてきて食べるなんて。そんなに好きなら、害がないなら時々は与えたいと思うのですが餡・砂糖・あるいは、味付けしていないふかしただけのカボチャなど与えてよいものなのでしょうか?

d_a1
 質問の件ですが、やはり人の物は与えない方が良いというのは間違いありません。基本的に、素材が良くしっかり調理されている人の食物は、動物にとっても悪いばかりではありません。が、これには、栄養学的な理由が4つ、そしてしつけの問題、動物の嗜好性などのいろいろな問題があります。

 一つの理由は、成分の問題で、人に大丈夫なものでも動物には有害なものがあるということです。有害という意味も、ネギ類やチョコレートのように毒性を現すことと、消化などに影響するという機能的な毒性と2種類あります。

 第二に、これが一番重要ですが、人と動物の栄養要求は全く異なるということです。仮に、成分として害にならないものでも、その摂取量が多すぎたり少なすぎたり、あるいはバランスが崩れるとこれは大きな害となります。例えば、人にとってよい食物の栄誉バランスを円グラフにすると、これはきれいな円になりますが、動物にとっては星形になってしまいます。よく皆さんが注意されるのは塩分ですが、実は同じく危険なのはたんぱく質、脂肪、糖分であり、カロリーも含め大半は摂取過剰が問題となります。

 さらに、第三の理由として、動物の身体は小さく、栄養要求が元々人に比べて少ないということです。これは実は人の中でも身体の大小、運動量や代謝の違いなどで異なります。例えば、健康な人にとってのウィンナー1本の塩分やたんぱく質、脂肪はたかが知れいてるでしょう。それでも、糖尿病や痛風の方には危険な量となることもあります。これを動物が摂取するとどうなるか。動物にとってのウィンアー1本は、人に換算するとボンレスハム丸々1本にもなってしまいます。小型犬にビスケットを1枚与えた時、人に換算するとハンバーガー1つになってしまいます。どんなに悪くない食品でも、毎日ハムを1本、あるいはハンバーガーを1個、食事以外に必ず食べていれば・・・、結果は一目瞭然です。

 第四の理由は、これら人の物を食事以外に与えた場合、仮にそれが栄養成分としても問題ないものであっても、摂取する栄養分は過多となります。その分、バランスの良い食事を減らして調整する必要が出てしまい、食生活のバランスを崩すこととなります。

 動物の食事で、人の食物を与えることと並列で考えなければいけないのは、それが主食となるか、おやつとなるか、です。おやつは、決して悪いばかりではありません。しつけのご褒美として(毎回与えてはいけませんが)、スキンシップの手段として、とても有用です。しかし、その成分と品質、与え方には上記の4つを考えなければいけません。また、本来おやつという習慣は人固有の習慣であり、動物がその習慣を会得する理由は、人が、飼い主さんが教えるからです。野生動物が、食事以外の時間に、小腹が空いたからちょっとつまむか、なんてことをしないですよね。人が喜ぶから、そして元々食べるのが好きだから、品質や健康を追求した食事に比べ、おいしさを追求した美味なおやつは格別だから、これがおやつを喜ぶ原因です。おやつを与えたことがない子は、実はおやつを欲しがりません。

 ここでご質問があります。テーブルに食事が並ぶと〜とありますが、今まで1度も皆さんが食事中にテーブルから何か与えたことはないでしょうか。あるいは、何か食べているものを分け与えた経験はないでしょうか。あるいは、置きっぱなしにしていた食物を盗食されたり。

 ほぼ100%、人の食事を欲しがり、テーブルの上に興味を示すのは、人が既に与えた経験のある子です。おいしい匂いがする、皆さんが楽しそうに食事をしている、これらは確かに動物も興味は示すことはあります。しかし本来は、人と動物の順位付けがしっかりとでき、与えた経験がなければ、それは動物にとっては食べ物という認識にはならず、欲しがるという行為にはつながりません。が、1度でもその経験があると、これは必ずまたもらえる?そういう反応につながります。

 ということは、人の物を食べるという習慣のない子は、それを欲しいというストレスに悩まされることはなく、悠々自適でいられるわけです。逆に、いつもらえるだろう、あるいは欲しい欲しい、ちょっと盗ってやろう、そういう思いをいつも持っていなければいけないことは、大きなストレスになるわけです。もらえるという経験をして、その後与えないということが一番苦しく、知らなければ幸福なのに、よく言われる言葉です。

 欲しがるから与えるというのが人の言い訳、くれるから欲しがるというのが動物の本音であるわけです。人が一度許したことは、動物にとっては許されたではなく、やってもいいよ、あるいはやりなさい、と受け止められてしまいます。また、皆さんがいらっしゃらない時にそれらが自由にできると、その間は叱られないわけですから、やはり許されていると思ってしまうわけです。よって、今もテーブルに上ったり、口を舐めさせたり、小鉢を舐めることができると、それを繰り返せば繰り返すほど、欲しがり方は強くなり、それをやってもよいと強化されていることになります。

 またこれらの行為は、誤食や盗食、いたずらの原因となり、危険なものや毒性物を食べてしまう事故を引き起こす一因となります。

 しつけとしての問題は、自分が欲しがればなんでももらえるということを覚えること、するとそれは食べ物に限らず、いろいろなことを要求しても人は言うことを聞いてくれるという思いに変わります。そして結果的には、自分を偉い、強いという錯覚に陥り、人との順位付けに問題が生じることとなります。これは、テーブルに上がることは人と同じ立場にいることを現し、人と同じものをもらえること、人と同じにテーブルからもらえることも人と同じ地位にあるということを現し、これらからも同じ経過をたどる原因となります。

 動物は家族ですが、人ではなく犬や猫としての家族です。また、人とは全く異なる体質や習性、性格を持っている動物です。ですので、動物にとってどうか、おうちの子にとってどうか、これを基準に考えて頂くと良いと思います。

 文章にするとなかなかお伝えするのが難しい内容ですので、必要があればお電話など頂ければご説明いたします。

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>>消化管寄生虫と咳(ミニチュアダックス・オス・3か月)
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 ペットショップで7月に飼いました。7月10日にデュラミューン8を初予防接種し、7月12日に家に迎えいれました。2日後にさむい日があり、そこから咳をし始めました。鼻も少しつまるようで風邪かなーと思ったいたのですが、咳が1週間続くので、近くのクリニックに連れていき、抗生剤をもらったのですが、あまりかわらずでした。

 次の週に経過を見せにいった時に糞にパスタ状のものがまざっていた旨を伝え写真を見せると、回虫かもしれないとのことでしたので、首に落とすタイプの駆虫薬をし、抗生剤を続けました。その1週間後、咳もほとんどなくなり検便をするとまだたまごの量がすごいのでとのことで、抗生剤は辞め、飲むタイプの駆虫薬をしました。

 虫は、たくさんでてきたのですが、咳をし、ツバをはく仕草をよくします。たまに実際にツバ?痰?を吐きます。元気は相当あり、食欲も満天です。遊んでる時は、ほとんどでません。ケージにいれるとでたりでなかったりといった感じです。どういった病気が考えられますでしょうか。

d_a1
 咳と寄生虫は基本的に無関係でしょう。咳については、感染症を基本とするケンネルコッフや気管気管支炎、喉頭気管炎などが考えられますが、気管虚脱や軟口蓋過長などの先天的原因がある場合もあります。治療が不十分であるために難治性となることもありますので、しっかりと治療を徹底し、必要であればX線検査などを行うべきです。

 便中に排出されるものは、消化管寄生虫の虫体と考えられます。線虫であると思いますが、本来は糞便検査を行い他の寄生虫や原虫のチェックもするべきです。線虫類には、治療に不応性のものもあるため、何種類かの駆虫剤での治療が必要になることもあります。

 それぞれに重い疾患ではないと評価できますが、こじらせると危険ですのでしっかりとした対応を行って頂くようにしてください。

d_q1
>>犬の食道拡張症?(ミニチュアダックス・オス・5歳)
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 水を飲んでも嘔吐し近隣の病院で治療していただいてましたが、検査の結果、食道が機能していないための嘔吐ということでした。
 
 子犬ならば、まれに見られるが、この年齢では珍しい、治らない、と言われました。治療方法はないのでしょうか?他の病院に行きたいとも思いますが、愛犬はホントに大事なのですが、金銭面が・・・教えてください。

d_a1
 食道拡張症という診断でしょうか。確定診断は消化管バリウム造影検査でしょうか。実際に診察をしておりませんので、かかりつけ医の診断が正しいのか、あるいは異なる疾患なのか、判断ができません。治療法も絶対にないわけではありませんが、診断がつかなければ治療法の提案もできません。また、子犬では〜というお話も、正しくはありません。

 また、この病状ではメールでの診断は不可能かと思います。経済的な理由も含め、かかりつけ医と相談してください。今の病院で治療が不可能であれば、他院をご紹介頂くことは可能だと思います。

 事情がおありだとは思いますが、動物も家族であり、飼い主さんに選ばれて引き取られたはずです。でも、動物は飼い主さんを選ぶことはできません。できるだけのことをあきらめずに行ってあげてください。

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